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Statement

 料理においてまず色彩によって食欲が湧いてくるように、私が好きな絵画や自身で表現したい絵もまず色彩が絵の中に入り込むきっかけになります。

しかし私自身以前は色を上手く扱う事ができず、どのように組み合せてどのように絵具を混ぜて良いのかも分からず、参考になる絵画の模写をしたり真似して描いたりもしましたが、今思えば結果的にしっくりくるものではなかったと思います。

 

 そんな中、父が昔から家庭菜園をしていて毎日のように食卓に上がる身近な野菜達をモチーフの一部として描き始めた事がきっかけで、色に対しての苦手意識が薄れてきました。自然にあるものはもともと原色に近い鮮やかな色彩を持っており、料理されてもなお色褪せず色の組合せも昔から見てきたものだったので、それを絵にしたことで何か自分の中の足りないピースがはまったような感じがしました。

 西洋絵画では食材をモチーフにした静物画が数多く描かれましたが、そこには豊かさや財力、知識を誇示するため、死や人の空しさを連想させるヴァニタスとして、何気ない日常風景の一コマとしてなど時代背景によって食材絵画の意図は様々です。

 私は野菜や果物自身が持つ形や色の鮮やかさ、また、外からは見えない中(断面)の美しさを主役とし、それをパーツとしてレンガのように表面に積み上げ新たな像として再構築させることで、食べ物としてだけでの意味ではない絵画表現をしています。絵の中に隠された物語や秘密、食彩がおりなす変化(へんげ)を楽しんで見ていただければと思います。

​岩澤慶典

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